(大きなことと小さななにか)
人が人のことのみ考えてものを言い、大きなことを運ぼうとしているとき、私は、そのことで脅かされ失われそうになる小さななにかのことを、ものを言わずに誰かが、そっとやっているにちがいないと、もしやっていなくてもそのことをひたすらに思っている誰かがいるにちがいないと、心のどこかで思っている。
どこかにいるその人に、そしてその小さななにかに、私はいつかかならず会う日が来るのだと思って、生きている。
そしてその日は、今日でも、昨日でもあった。私がこれまで生きてきたどの日でも。